一心舎木工室、はじまりのご挨拶

1.はじめに 〜木と出会ったきっかけ〜

はじめまして。「一心舎木工室」のブログをご覧いただき、ありがとうございます。
私は長年、グラフィックデザインや印刷の仕事に携わってきました。紙と向き合い、デザインを通じて「伝える」ことを大切にしてきたのですが、心のどこかで「もっと手を動かし、形あるものを自分の手で生み出したい」という気持ちが膨らんでいきました。

そんな中で出会ったのが「木工」でした。最初は趣味として始めたのですが、木材に触れるたびに感じる香りや温かさ、そして何より自分の手で削り出して形にしていく楽しさに夢中になりました。木は一本一本、まったく同じものが存在せず、木目や色合いも異なります。その唯一無二の個性に惹かれ、「これは一生をかけて向き合いたい世界だ」と思うようになったのです。

そうして始まったのが、この「一心舎木工室」です。名前には「一つのことに心を込める」という意味を込めました。小さな工房ですが、ひとつひとつの作品に向き合い、気持ちを込めて形にしていく場所でありたい。そんな想いから生まれました。


2.工房で大切にしていること

工房では主に額縁や小物、そして暮らしの中で長く使っていただける日用品を製作しています。
特に額縁は、私にとって大切なテーマです。写真や絵を引き立てるだけでなく、その一枚を飾る空間全体を柔らかく彩る存在だと思っています。天然木を用いて、一点一点仕立てる額縁は、飾る方の想いや作品の個性と響き合い、その人の暮らしにそっと寄り添うものになればと願っています。

ものづくりをしていると、どうしても「効率」や「数」を追い求めたくなる瞬間があります。しかし一心舎木工室では、そうした大量生産の考え方とは少し距離を置きたいと考えています。むしろ「時間をかけてでも丁寧に向き合うこと」に価値があると思っています。木を選び、削り、磨き、組み上げるその一つひとつの工程に、自分の気持ちを注ぎ込む。そうして仕上がったものは、きっと作り手の想いが宿り、使い手の暮らしに長く寄り添えるものになると信じています。

また、工房では「失敗」も大切にしています。木工を始めてから、数えきれないほどの失敗を重ねてきました。でも、その度に「なぜ割れてしまったのか」「どうすれば強度が増すのか」を考え、学び、工夫を重ねてきました。その試行錯誤こそが自分を成長させ、作品に奥行きを与えてくれるのだと感じています。


3.これからの歩みと、このブログについて

このブログでは、工房の日々の様子や新しくできた作品の紹介はもちろん、木材や道具の話、時には木工を通じて感じたことを綴っていきたいと思っています。木の持つ魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい。そして、作品を手に取ってくださる方に「作り手がこんな想いでつくっているんだ」と感じてもらえれば嬉しいです。

また、このブログは私自身の記録でもあります。作品づくりの途中で悩んだこと、工房で起きた小さな出来事、試行錯誤の跡を残していくことで、あとから振り返ったときに「こんな風に歩んできたんだな」と思えるようにしたいのです。そして何より、このブログを通じて、木工やものづくりに興味を持ってくださる方々とつながれたら、それほど嬉しいことはありません。

まだまだ駆け出しの工房ですが、「木とともに暮らす心地よさ」を少しずつ形にしていきたいと思っています。どうぞ温かい目で見守っていただければ幸いです。

これから「一心舎木工室」をよろしくお願いいたします。